目的:消化器外科病棟看護師がクリニカルパス(以下パス)を使用する中で後期高齢者の特性を踏まえて行っている看護実践を明らかにすること.
方法:臨床経験年数5年以上の看護師9名を対象に半構造化面接を行い,質的内容分析を行った.
結果:看護師は高齢者へパスを使用することに対し,利点と困難さの両方の認識を持っていた.パスを使用する中で高齢者の特性を踏まえて行う看護実践に関して《パスにとらわれず経験に基づく臨床判断を重視し高齢者への看護を行う》《高齢者への退院支援の必要性を認識し取り組む》のパスにとらわれずに実践している看護についての2カテゴリーが得られ,高齢者の特性を踏まえた看護実践の難しさに関して《自信をもって高齢者の看護を行えていない》《高齢者の特性を踏まえた対応まで踏み込めない》の2カテゴリーが得られた.
考察:看護師はパスによる高齢者の特性を踏まえた看護実践の困難さを感じており,虚弱高齢者に対する成人と共通のパスの使用は効果的でない可能性が示唆された.一部の看護師がパスにとらわれずに行っていた高齢者の特性を踏まえた看護実践を多くの看護師が実践できるようにしていく必要がある.
結論:急性期病院における高齢者の特性を踏まえたパスの開発や高齢者看護実践能力を高める教育の充実が必要である.