日本看護管理学会誌
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原著
病院に勤務する助産師の臨床における職業経験と看護専門職としての自律性の関係
大桐 規子原 玲子
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2020 年 24 巻 1 号 p. 43-51

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抄録

本研究の目的は,病院に勤務する助産師の,臨床における職業経験と看護専門職としての自律性の関係を明らかにすることであった.対象は,東北地方の分娩を取り扱っている病院に勤務する助産師1,122名で,郵送法による無記名自記式の質問紙調査を行った.調査内容は個人属性,職場環境,職業経験の質,看護専門職としての自律性とした.自律性得点との関係を重回帰分析にて分析した.

結果,回収率46.1%,有効回答469名(90.5%).自律性合計得点は167.61±24.61点,職業経験評価合計得点は94.47±20.03点であった.助産師の看護専門職としての自律性形成に影響する要因は,①職業経験評価下位尺度の「看護職としての価値基準を確立する経験」,②「勤務帯リーダーの経験」,③職業経験評価下位尺度の「看護実践能力を獲得し多様な役割を果たす経験」,④「助産師経験年数」,⑤「研究活動経験」の5項目であった.産科に勤務する助産師の45.6%は,産科以外の臨床経験への希望を有することが明らかとなり,これは,ハイリスク妊産婦の増加に伴い,その対応のための他領域の経験ニーズと考えられた.

また,助産師としてのキャリア形成を検討する際には,助産実践に自信がもてるような経験に加えて,自律性形成の影響要因である「多様な役割」,「勤務帯リーダー」,「研究活動」を組み入れた継続教育を進めることの重要性が示唆された.

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© 2020 一般社団法人 日本看護管理学会
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