日本看護管理学会誌
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総説
急性期病院における身体拘束を軽減するための看護管理に関する文献検討
菅野 眞綾叶谷 由佳
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 25 巻 1 号 p. 129-138

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抄録

急性期病院における身体拘束を軽減するための看護管理に関する文献を検討し,最近の動向と今後の課題を明らかにすることを目的とした.PubMed,CINAHL with Full Text,Cochrane Reviews,医中誌Webを用い,2020年1月5日に検索した.計190件の文献が検索され,適格基準を満たし,2000年~2019年に出版された15文献(7和文献,8英文献)が対象となった.各施設における身体拘束軽減の取り組みが成功した要因は,倫理観の醸成,高齢者ケアの推進,転倒予防の推進,せん妄ケアの推進,基本的アセスメントと看護実践の質向上,適切な人員配置,認知症ケアの推進,現状・課題分析であった.主な看護管理実践内容は,1)目標,判断基準の設定,2)課題の明確化,3)問題認識の共有,4)仕組みの見直し・構築,5)安全保障,6)教育機会の提供,7)チームの立ち上げ・運用,8)連携の促進,9)動機付け,10)取り組みの評価であった.非ランダム化比較試験において,身体拘束時間の減少,身体拘束率の低下,身体拘束の使用に関する知識,態度の改善がみられた.今後は,病院規模の違いに関わらず,急性期病院における身体拘束軽減の検討が可能な共通の看護管理評価項目,評価指標を示す必要がある.

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© 2021 一般社団法人 日本看護管理学会
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