日本看護管理学会誌
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実践報告
救命救急病棟で活用できる退院支援計画シートの開発
―退院困難リスクへの早期対応を可能にする退院支援内容の明確化―
水野 雅子野地 有子増渕 美恵子
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 25 巻 1 号 p. 46-54

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抄録

本報告では,救命救急病棟看護師が実施している,緊急入院した患者・家族に対する退院支援内容から,退院困難のリスクとなった項目と多職種で実施可能である項目を抽出し構造化を行い,退院支援計画シートを開発することを目的とした.退院困難のリスクへの早期対応を可能にする退院支援内容を時間軸に沿って明確化した.退院困難のリスクには,「入院前に比較した退院後のADLの低下」「断続的なせん妄や認知機能低下」「患者・家族の退院に関するニーズの変化の把握不足」「新たな社会資源を必要とする患者の状態」「診療区分による転院先の制約」の5項目,多職種で実施可能である退院支援項目には,「多職種による情報収集と共有」「患者・家族・多職種間で退院に関する目標を共有」「多職種による患者・家族の退院に関するニーズへの対応」の3項目が明らかになった.退院支援計画シートの構成要素には,退院困難リスクと多職種による支援項目を,時間軸(入院時・入院3日目・1週間目)で明確化した.その結果,救命救急病棟の環境や看護師の能力に左右されることなく患者・家族を中心とした退院支援を実践できるツールの開発となった.また,退院困難リスクに対し多職種と連携し入院早期に介入を始めていくことで,入院期間の短縮や病床稼働の効率的な運用など,病床機能分化推進に貢献できると考えられた.

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© 2021 一般社団法人 日本看護管理学会
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