2021 年 25 巻 1 号 p. 139-150
本研究は,看護管理者のマネジメント能力の向上を目指した効果的な組織的人材育成の方策を検討するために,看護管理者のキーコンピテンシーの構成要素を明らかにし,そのキーコンピテンシーの獲得プロセスを明らかにすることを目的とする.地方中核都市にある300床以上を有する4つの急性期医療施設(特定機能病院および地域医療支援病院)に勤務する看護管理者20名を対象にインタビュー調査を行った.インタビュー調査は半構造的面接法で1人あたり60分程度行い,面接内容を録音し逐語録としてデータを収集した.調査期間は2016年7月から12月である.分析の結果,看護管理者のキーコンピテンシーは,【状況認識】【意思決定】【自己管理】【メタ認知行動】【キャリア支援】の5つの構成要素からなり,これらキーコンピテンシーを獲得する上では【内的要因】である[問題意識と挑戦意欲]と[リフレクションの質],【外的要因】である上司や同僚による[フィードバック]と[機会の提供]が関係していることが示された.看護管理者のマネジメント能力向上のための方策として,5つのキーコンピテンシーの獲得にターゲットを絞り,看護管理者自身が問題意識を高め,リフレクションの質を高められるような内容の研修が必要である.