日本看護管理学会誌
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看護師のワーク・ライフ・バランス実現に向けた看護師長のコンピテンシー評価尺度の開発と信頼性・妥当性の検討
鈴木 小百合
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2021 年 25 巻 1 号 p. 192-203

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抄録

本研究は,先行研究で開発された既存の尺度を精錬した,新たな「看護師のワーク・ライフ・バランス(WLB)実現に向けた看護師長のコンピテンシー評価尺度」を開発し,信頼性と妥当性を検討することを目的とした.全国の431病院に勤務する看護師長2285名を対象に質問紙調査を行った.調査項目は,先行研究で構成された看護師のWLB実現に向けた看護師長のコンピテンシー評価尺度41項目と属性であった.調査票の回収数1924部(回収率66.4%)のうち1743部を分析対象とした.探索的因子分析(主因子法,プロマックス回転),確証的因子分析の結果,8因子33項目で尺度が構成された(因子名:ビジョンの共有,キャリア支援,WLB支援制度の理解の推進,休暇取得の透明性・公平性確保,看護実践における問題解決行動,対人関係構築の基盤となる柔軟性,中間管理職としての責任ある行動,個の能力を活かした人材配置).Cronbachのα係数は全体で.940,因子別で.784~.887であった.尺度と属性(認定看護管理者研修受講歴,院内の研修会の企画・運営経験,基準が明確な管理者昇任制度の有無,看護師長経験年数,WLB推進委員会設置の有無)との関連から収束的妥当性を,年齢,性別との関連から弁別的妥当性を検証したが,尺度の再現性,基準関連妥当性,有用性を検証することが今後の課題である.

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© 2021 一般社団法人 日本看護管理学会
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