2021 年 25 巻 1 号 p. 225-235
本研究の目的は「コンピテンシーを基盤とした看護管理者研修プログラム」の評価をすることである.プログラムの受講者5人にインタビューを行い,看護管理者としての成果に結びついた実践の中で発揮されたコンピテンシー群(クラスター)を記述した.さらに,より効果的なプログラムにするための課題と方略を考察した.
問題に直面したとき,まず〈認知コンピテンシー〉により,現状の分析や問題の概念化を行うことにより,問題の本質を明らかにし,問題解決,課題達成に向けた適切な目標が設定された.そして,課題に取り組む間一貫して,〈達成とアクション〉が発揮されていた.また,課題達成に向かうプロセスを通じて〈個人の効果性〉を発揮することが,達成に向けゆるぎなく前進することを支えていた.さらに,そのプロセスにおいて,〈支援と人的サービス〉〈インパクトと影響力〉〈マネジメント・コンピテンシー〉が状況に応じて発揮された.
コンピテンシー群(クラスター)のモジュールを構造化し,プログラムを展開することが研修成果につながること,本プログラムは,新任看護管理者だけでなく,実践に自信が持てない看護管理者の自己確信の向上を期待できることが示唆された.