日本看護管理学会誌
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資料
勤務帯別にみた看護記録時間の関連要因
小川 晃司竹内 朋子
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2021 年 25 巻 1 号 p. 245-252

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抄録

看護記録時間の関連要因を勤務帯別に明らかにすることを目的とした.首都圏のA病院に勤務する看護師とその受け持ち患者の電子カルテ・人事情報システムから,2日間における日勤帯と夜勤帯それぞれの看護記録時間,看護師属性,受け持ち患者属性,看護記録属性のデータを収集した.各変数の基本統計量,看護記録時間と各属性のSpearmanの順位相関係数を算出した.また,看護記録時間を従属変数とし,各属性を独立変数とするロジスティック回帰分析を勤務帯別に行った.統計学的有意水準は5%とした.看護記録時間の平均は,日勤帯で93.8±47.8分(勤務時間の20.0%相当),夜勤帯では102.9±80.2分(勤務時間の21.8%相当)であった.日勤・夜勤帯のいずれにおいても,看護記録時間と看護師属性との間に有意な関連はなかった.日勤帯においては,受け持ち患者の「重症度,医療・看護必要度」A項目が1点以上 (OR=1.86, p=.042),B項目が3.8以上 (OR=0.50, p=.041),事象発生後60分以内のタイムリーな看護記録が80%以下 (OR=0.39, p=.002),クリニカルパス適用患者の割合が40%以下 (OR=0.39, p=.002)であることがそれぞれ看護記録時間の長さと有意に関連していた.夜勤帯では,看護記録件数のみ有意な正の相関がみられた(r=.551, p=.010).看護記録時間を短縮するためには,特に日勤帯において,患者割り当てに際して「重症度,医療・看護必要度」を指標とすることや,タイムリーに記録できるように記録端末を増設すること,クリニカルパス等を活用する有用性が示唆された.

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© 2021 一般社団法人 日本看護管理学会
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