日本看護管理学会誌
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A県中間看護管理職者の倫理的行動に影響する要因
西村 明子山田 光子水下 陽子
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2021 年 25 巻 1 号 p. 74-84

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抄録

A県中間看護管理職者(看護師長・副看護師長・看護主任)の倫理的行動に影響する要因を明らかにするために,承諾が得られた57施設の中間看護管理職者655名に質問紙調査を実施した.

調査内容は,年齢,性別,看護管理年数,看護師年数,看護管理研修・看護倫理研修・看護倫理カンファレンスの有無,松本が作成した18場面から成る倫理的問題の認識と大出が作成した倫理的行動尺度である.347名より回答を得(回収率53%),307名を分析した(有効回答率89%).

看護管理研修受講有は223名72.6%,看護倫理研修有は263名85.7%,看護倫理カンファレンス有は213名69.4%であった.倫理的問題に対する認識について「感じる」が多かった場面は,「本人の意志を確認せず家族が治療を選択する」「人手があればしなくても良い抑制をしなくてはならない」であった.倫理的行動の「公正」は,看護管理研修,看護倫理研修,看護倫理カンファレンスにより高値を示し,「自律尊重」「無危害善行」は,看護倫理研修,看護倫理カンファレンスにより高値を示した.倫理的問題の認識では18場面中13場面で「感じる」と回答した者の倫理的行動が「感じない」より低い得点であった.

看護倫理研修と看護倫理カンファレンスは,倫理的行動を促進する要因の一つであること,倫理的問題を認識しても倫理的行動に繋がっていないことが示唆された.

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