日本看護管理学会誌
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原著
急性期病院の看護の質向上における主任看護師の役割と課題
近末 清美山本 真由美新宅 祐子西山 史江村田 由香
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 26 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

目的:急性期病院の看護の質向上における主任看護師の役割と課題を明確にすることである.

方法:中国地方3県の300床以上の急性期病院10施設の主任経験5年目以上の主任看護師を対象とし,4~6名のフォーカスグループ・インタビューにて,主任看護師としての役割と役割遂行上の課題について半構造的面接法を用い質的研究を行った.データは逐語録に起こし,その中から主任看護師の役割と役割遂行上の課題に関連する箇所を抽出し質的記述的に分析した.

結果:10施設47名のインタビューデータを分析対象とした.主任看護師の役割は【看護師長とのコラボレーション】【スタッフのエンパワーメント】【医療安全を目標にした活動】【業務改善の仕組みづくり】【多様な人々とのコーディネーション】【病院経営を見据えた行動】【主任看護師としての自己啓発】の7カテゴリー,役割遂行上の課題は【管理者としての力量不足の実感】【キャリア発達の迷い】の2カテゴリーが抽出された.

考察:急性期病院の主任看護師は,看護の質向上を目指した看護師長のビジョンを基に,看護師長とコラボレ―ションした医療変革期における病院経営を見据えてのマネジメントと,部署の専門性を高め質の高いケア提供をめざした人材育成など多様な役割を担っていた.主任看護師としての役割を担う上で能力向上の必要性の認識と役割遂行との間にジレンマを感じ,キャリア発達の迷いが生じると考えられた.

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© 2022 一般社団法人 日本看護管理学会
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