日本看護管理学会誌
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原著
急性期一般病棟の看護師が行う看護補助者への清潔ケアの委任の様相
鬼頭 幸子
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2022 年 26 巻 1 号 p. 11-20

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抄録

本研究の目的は,エスノグラフィーに基づいて急性期一般病棟の看護師が看護補助者(以下,補助者)へ患者の清潔ケアを委任する様相を明らかにすることである.2施設の各1病棟で,看護師長2名,経験年数5年以上の看護師8名,補助者6名に約3か月間,参加観察と半構成的面接を行った.その結果,2施設に共通する8つの様相,1.看護師は,清潔ケアを看護本来の仕事と捉え,許容を超えた時に看護補助者への委任を考える,2.看護師は,委任の責任をとる覚悟で患者と看護補助者の安全を確保し委任を決める,3.看護師は,医療の資格を持たない看護補助者に任せられることを見極める,4.看護師は,過剰な量にならないよう気にかけて委任し,看護補助者は無理なく引き受ける,5.看護師は,看護補助者の背景を踏まえて簡潔に委任内容を伝え,看護補助者は難なく理解する,6.安全に実施されるよう看護師と看護補助者は事前に必要な情報を共有する,7.看護師は,患者に負担をかけないよう清潔ケアのタイミングで観察や処置を行う,8.看護師と看護補助者は阿吽の呼吸で清潔ケアを行う様相が明らかになった.各施設に特異的な様相として,A病棟では,補助者は忙しい看護師を助けるために自己判断で清潔ケアを行う様相,B病棟では患者に最善の清潔ケアを考えるリーダー看護師から自分達のやり方を守る補助者への委任は難航する様相が明らかになった.

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© 2022 一般社団法人 日本看護管理学会
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