日本看護管理学会誌
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原著
病棟看護師の退院支援の実践に影響する要因
都築 久美子宇城 令
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2023 年 27 巻 1 号 p. 112-121

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抄録

本研究の目的は,病棟看護師の退院支援の実践に影響を及ぼす組織的要因および個人的要因を明らかにすることである.対象は,Z県の19施設の病棟に勤務する1,256名とし,自記式質問紙調査を行った.調査項目は,目的変数に病棟看護師の在宅の視点のある病棟看護の実践に対する自己評価尺度,説明変数に組織的要因として「院内退院調整部門からの情報提供」「院内多職種からの情報提供」「院内退院調整部門とのカンファレンス」等,個人的要因として「退院支援における成功体験」「退院を見据えた関連職種への働きかけ」等とする重回帰分析を行った.その結果,退院支援の実践を促進していた要因は,看護師自身が「院内多職種に対する情報収集」(β=0.211)し,「院外地域関係職種への対応力」(β=0.157)があること,「退院支援における成功体験」(β=0.107)が重要であった.組織的要因は「院内退院調整部門とのカンファレンス」(β=0.139),「先輩・同僚のサポート」(β=0.138),「院外在宅ケアスタッフや家族との退院カンファレンス」(β=0.111),「医師からの情報発信」(β=0.101)等が示された.これらより病棟看護師の退院支援の実践を高めるには,看護師自身が退院を見据え,院内多職種へ積極的に情報収集し,院外地域関係職種に対して積極的な働きかけが重要であり,そして先輩・同僚からのサポートやカンファレンス,医師からの情報発信等によっても高められると考えられた.

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© 2023 一般社団法人 日本看護管理学会
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