日本看護管理学会誌
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日本版Revised-Basel Extent of Rationing of Nursing Care(BERNCA-R)の作成及び信頼性・妥当性の検証
河野 敬大山 裕美子
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 27 巻 1 号 p. 171-178

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抄録

看護ケアの暗黙の選択(Implicit Rationing of Nursing Care)とは,「看護資源の不足(人員配置,多職種協働,時間)が原因で,患者にとって望ましい結果を達成するために必要な看護ケアを患者に提供することを差し控える,または,できないこと」である.看護ケアの暗黙の選択は,Revised-Basel Extent of Rationing of Nursing Care(BERNCA-R)尺度によって測定される.本研究は,日本語版BERNCA-R尺度の作成と信頼性・妥当性の検証を目的とした.標準的な方法に基づき,原版を日本語に翻訳,文化的に適合させた.次に信頼性と妥当性の検証のため,急性期病院の看護師545名を対象に2018年11月に質問紙調査を実施し,317名を最終的分析対象者とした.日本版BERNCA-R尺度の得点の Cronbach’s α係数は0.94であった.主成分分析では,日本版BERNCA-R尺度は1因子構造を持つことが示唆され,原版と同様の因子構造を示した.一方,収束的妥当性に関しては,日本語版the Practice Environment Scale of the Nursing Work Index(PES-NWI)尺度の合成得点,各下位尺度得点とも弱い相関関係であった(r=-0.14~-0.22, p<.01).以上より,日本語版BERNCA-R尺度の妥当性には課題が残った.看護ケアの質指標としての価値を高めるために,本尺度を用いたさらなる信頼性と妥当性の検証が必要である.

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© 2023 一般社団法人 日本看護管理学会
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