日本看護管理学会誌
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資料
患者・家族との対話を基盤とした在宅療養移行支援研修プログラムに参加した看護師の学びの内容と行動の変化
―二つの質問紙調査から―
丸岡 直子石川 倫子中嶋 知世田村 幸恵湯野 智香子
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2023 年 27 巻 1 号 p. 188-197

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抄録

患者・家族との対話を基盤とした在宅療養移行支援研修プログラムに参加した病院看護師53名の学びの内容と研修プログラム前後の在宅療養移行支援実施状況の変化を明らかにすることを目的とした.学びの内容は,研修プログラム終了後に自由記載により調査し,記述内容を質的記述的に分析した結果,【対話の持つ力】【言葉だけではない対話の手だて】【対話を成り立たせる要素】【顔の見える環境づくり】【学び合う環境づくり】にまとめられた.在宅療養移行支援の実施状況は,研修プログラム実施前後に在宅療養移行支援質指標(外来用:30項目,病棟用:38項目)を用いた無記名自記式質問紙により調査し,各項目の平均得点を対応のあるt検定により分析した.その結果,外来患者への在宅療養移行支援では「在宅で患者が行っていたセルフケア行動に承認の言葉を伝える」が,入院患者への在宅療養移行支援では「入院前の在宅における患者のセルフケア行動に承認の言葉を伝える」「退院後の療養生活を目指した患者(家族)の取り組みを支持する」など6項目で研修後に平均得点が高くなった.患者・家族との対話場面を再構成した事例を用いた研修プログラムは対話の効用と対話促進への学びを生み出し,患者・家族と看護師の対話が必要となる支援項目の実施状況が高まることが示唆された.

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© 2023 一般社団法人 日本看護管理学会
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