日本看護管理学会誌
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原著
緩和ケア病棟における中途採用者に対する教育担当者の役割意識と役割遂行の乖離に関連する要因の検討
太田 純子山崎 千寿子廣島 麻揚
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2023 年 27 巻 1 号 p. 51-60

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抄録

目的:緩和ケア病棟における中途採用者に対する教育担当者の役割意識と役割遂行の乖離の有無とそれらの関連要因を明らかにし,中途採用者に対する教育担当者が役割遂行しやすい環境を検討する.

方法:緩和ケア病棟入院料届出受理施設431施設の中途採用者に対する教育担当者431名を対象に,教育に関する組織の体制,個人属性,役割意識・役割遂行(4因子27項目),職場風土(5因子30項目)の無記名自記式質問紙調査を実施.役割意識得点から役割遂行得点を引き,役割意識得点の方が高かったものを対象に教育に関する組織の体制,個人属性,職場風土との関連を分析し,重回帰分析を実施.

結果:回収数180名(回収率41.8%)のうち,教育担当者の配置がない,過去5年間に中途採用者の配属がない,師長と兼任,役割意識と遂行の回答に欠損のあったものを除外し72名(有効回答率16.7%)を対象とした.乖離が生じていたのは69名であり,役割意識と遂行の全ての下位因子において乖離があった.教育に関する組織の体制,個人属性との乖離には有意な関連はなく,乖離と関連があると考えられた職場風土を説明変数とした重回帰分析の結果,乖離に関連する要因は意思疎通感(β=-0.33,p<0.05)であった.

考察:意思疎通感の高い職場風土は,緩和ケア病棟における中途採用者に対する教育担当者の役割意識と遂行の乖離を埋め,役割遂行を促すと考える.

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© 2023 一般社団法人 日本看護管理学会
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