2024 年 28 巻 1 号 p. 153-163
目的:男性看護師のキャリア発達を促す支援を検討するために,男性看護管理者の語りから,男性看護管理者のキャリア発達と男性看護師特有のキャリア発達に影響を与える要因について明らかにする.
方法:一般病院で師長の職位を持つ男性看護管理者5名を対象に半構造化面接を実施した.面接後逐語録を作成し,男性看護管理者が看護師として働くことをどのように捉えキャリア発達させているかに着目し,内容の相似性からデータをカテゴリー化した.
結果:男性看護管理者のキャリア発達として,【看護職への迷いと多様な経歴】【公私ともに役割が拡大し働くことを捉え直す】【キャリアに対して主体性を持つ】【迷いながら管理者を引き受ける】の4カテゴリーが抽出された.キャリア発達に影響を与えるジェンダー意識として,【性差はあるが意識しないようにする姿勢】【男性であることが有用であると認識】【男性看護師の活躍を期待】の3カテゴリーが抽出された.
考察:女性看護師と比べ男性看護師は,就職前後のキャリア発達が困難な傾向にあると考えられた.一方就職後は,女性看護師と比べ男性看護師は,家族役割を要因としたキャリア発達に優位性があった.男性看護師のキャリア発達において,ジェンダー意識は重要な要因と考えられた.