2025 年 29 巻 1 号 p. 9-18
【目的】国内の介護老人保健施設(以下,老健とする)で発生した誤薬の内容とそれらの発生件数,最頻出語である服薬のプロセスにおける「確認」の仕方に着目し,要因の具体的な内容と背景を明らかにすることである.その結果に基づいて,老健における誤薬防止を検討した.
【方法】老健2施設の誤薬に関する事故報告書156件を分析対象とし,共起ネットワーク作成と,最頻出語「確認」を含む文章の内容分析を行った.
【結果】誤薬の内容は14に分類され,「無投薬」が109件と最も多かった.共起ネットワークでは,「確認」が中心にあり,「無投薬」,「利用者間違い」,「投与時間間違い」が「確認」とつながっていた.「確認」を含む文章を内容分析し,「確認」が不十分だったものが記載されているもの70件と,「確認」に影響を及ぼしたと思われる要因が記載されているもの74件が見出された.「確認」が不十分だったものは【薬剤】22件,【薬包に記載されている投薬情報】21件などに分類された.「確認」に影響を及ぼしたと思われる要因は【確認ルールの遵守不足】21件,【思い込み】13件などであった.
【結論】「確認」と誤薬には関連があり,「確認」が不十分となることで誤薬が発生すると示唆された.「確認」が不十分とならないよう,「確認」する方法やタイミングの見直し,薬包の色などの変更,コンピューターシステムなどの導入を検討する必要がある.