2006 年 9 巻 2 号 p. 50-57
中間管理職にある看護師8名への知識伝授経験に関する半構成的インタビューを,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)で分析し,看護実践における知識伝授プロセスを明らかにするところから,暗黙知による伝授の有用性を検討した.
その結果,知識伝授プロセスにおいて,形式知への変換による『知識の定型化』が進む反面,暗黙知としてしか伝授できない部分も存在し,暗黙的伝授と形式的伝授が同時進行していた.また,日本文化の影響や,看護師の成長の重視,知識の認知的側面の重視という特徴がみられた.
そこから,過度の『知識の定型化』を避け,暗黙的伝授が有利な文化背景を活用し,暗黙的伝授と形式的伝授を組み合わせることで,知識伝授が促進されるという示唆を得た.