2005 年 15 巻 1 号 p. 41-58
本研究は、患者が不安や危機感を持つことが予測される場面に焦点をあて、そこで生じる看護師と患者の相互作用の構造を明らかにすることを目的として行なった。心臓カテーテル検査・治療を受ける患者へのオリエンテーション場面8事例を対象とし、参加観察法と半構成的質問による面接法を実施した。
その結果、看護師の発言には[患者の検査に対する認識を知る][患者の認識を検査に向けて整える]の2カテゴリー、患者の発言には[患者が自分の思いや考えや状況を看護師に伝える][患者自身が知識を求め思いや考えや状況を整える][患者が看護師と認識を共有する]の3カテゴリーがみられた。また相互作用には、〈看護師と患者両者で進める〉〈看護師と患者両者が消極的〉〈看護師主導〉〈患者主樽〉の4パターンがあった。
これらのことから、患者が不安や危機感を持つことが予測される場面で実施するオリエンテーションは、単に説明・指導の場として捉えるのではなく、患者自身が検査・治療を受け入れられるように援助する面接場面と位置づける必要があることが示唆された。