2007 年 17 巻 2 号 p. 1-10
本研究はPM理論を活用して、看護専門学校の教育主事のリーダーシップ尺度を開発し、教育主事のリーダーシップと専任教員のモラールとの関連を明らかにすることを目的とした。2003年2月から3月の間に関東・東海地区の看護専門学校30校で調査を行った結果、次のことが明らかになった。
1.教育主事34人(100%)、専任教員241人(98.8%)から有効回答があった。教育主事の平均年齢は52.3±4.9歳、専任教員の平均年齢は40.7±6.1歳であった。
2.因子分析の結果をもとに教育主事のリーダーシップ尺度が作成された。下位尺度は7項目の「組織運営尺度」と3項目の「人間関係重視尺度」の2つで、妥当性、信頼性共に高かった。
3.PM理論を用いて教育主事のリーダーシップが4つのタイプに分類された。教育主事のリーダーシプのタイプ1、2では、タイプ3、4に比べて専任教員のモラール得点が有意に高かった。
4.教育主事が短大卒業以上では高等学校卒業に比べて、教育主事のリーダーシップ得点と専任教員のモラール得点が有意に高かった。
5.組織運営尺度は他の変数に比べて有意に強く専任教員のモラールと相関していた。また、重回帰分析でも組織運営尺度は他の変数に比べて有意に強く専任教員のモラールに影響を与えていた。
PM理論の活用により、看護専門学校の教育主事のリーダーシップは専任教員のモラールに影響していることが示唆された。