日本看護学教育学会誌
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研究報告
臨地実習で看護学生が体験した患者からの暴力とそれに対する学生の認識
村井 文江三木 明子江守 陽子
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2009 年 19 巻 1 号 p. 45-59

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抄録

 本研究の目的は、臨地実習で生じている暴力への教育的支援の基礎資料を得るために、患者から看護学生が受けている暴力の状況を明らかにすることである。A県内の看護師養成学校の最終学年にある看護学生を対象とし、暴力体験の有無、実習領域、暴力への嫌な思いを質問紙調査した。712名に質問紙を配布し、593名から有効回答が得られた。

 結果、352名(59.4%)の学生が臨地実習で暴力を体験しており、体験した学生の55.1%が嫌な思いを抱いていた。学生が体験した暴力は、精神的暴力670件(44.7%)、性的暴力645件(43.1%)、身体的暴力183件(12.2%)であった。暴力はすべての実習領域で体験されており、精神看護学領域で29.9%、成人看護学領域で28.7%、高齢者看護学領域で22.0%が体験されていた。精神看護学領域では性的暴力、成人看護学、高齢者看護学、基礎看護学領域では精神的暴力の割合が高かった。また、小児看護学および在宅・地域看護学領域では、身体的暴力の割合が高かった。

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© 2009 一般社団法人 日本看護学教育学会
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