2014 年 24 巻 1 号 p. 41-54
〔目的〕看護基礎教育における患者教育の成立過程を、学習基盤の変容、意味の変容、教育実践の変容、に注目して明らかにした。
〔方法〕歴史学的考察を試みた文献研究である。
〔結果〕患者教育の学習基盤の面では、指定規則が改定されるたびに教科と教育内容が拡大された。意味の変容の面では、治療効果を上げるための「手段」から、患者の生活の「援助」へと意味の転換がみられた。教育実践の変容としては、抽象的一般的な実践から、個別的具体的な実践へと発展した。
〔考察〕指定規則の改正によって患者教育の学習基盤が整えられ、「わかる」ことから「できる」ことへと学習目的の転換をもたらした。また、患者教育は、患者-看護師の相互関係を基本とし、患者に内在する「自分で治ろう」とする意思と生活を支える「援助」として意味づけされるようになった。教育実践では、問題解決学習に関心がはらわれてきた。こうした教育の変容によって、患者教育は、方法論や看護観、学習観など専門性の観点を拡大していった。