日本看護学教育学会誌
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研究報告
看護基礎教育における患者教育の成立過程 戦後から1990年代の教育の変容
二井矢 清香
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2014 年 24 巻 1 号 p. 41-54

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抄録

〔目的〕看護基礎教育における患者教育の成立過程を、学習基盤の変容、意味の変容、教育実践の変容、に注目して明らかにした。

〔方法〕歴史学的考察を試みた文献研究である。

〔結果〕患者教育の学習基盤の面では、指定規則が改定されるたびに教科と教育内容が拡大された。意味の変容の面では、治療効果を上げるための「手段」から、患者の生活の「援助」へと意味の転換がみられた。教育実践の変容としては、抽象的一般的な実践から、個別的具体的な実践へと発展した。

〔考察〕指定規則の改正によって患者教育の学習基盤が整えられ、「わかる」ことから「できる」ことへと学習目的の転換をもたらした。また、患者教育は、患者-看護師の相互関係を基本とし、患者に内在する「自分で治ろう」とする意思と生活を支える「援助」として意味づけされるようになった。教育実践では、問題解決学習に関心がはらわれてきた。こうした教育の変容によって、患者教育は、方法論や看護観、学習観など専門性の観点を拡大していった。

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© 2014 一般社団法人 日本看護学教育学会
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