2015 年 25 巻 2 号 p. 29-40
〔目的〕病院に就業する看護師の研究成果活用力に関係する個人特性を解明する。
〔方法〕「研究成果活用力自己評価尺度−臨床看護師用−」と看護師特性調査紙から成る調査票を全国38病院に就業する看護師860名に配布し、無記名個別投函により回収したデータを統計学的に分析した。
〔結果〕看護師447名(回収率52.0%)から回答を得、有効回答403名分を分析した結果、看護師は、看護実践への研究成果活用の実現に重要な行動を十分にとれておらず、研究成果活用力が不足していた。また、「看護方法の変更に伴う問題に対応する」行動を比較的とれている一方、「研究成果活用の是非を多角的に検討する」行動、「関係者の理解を得ながら新たな看護方法の導入を進める」行動をとれていなかった。重回帰分析の結果は、看護師の研究成果活用力に「研究成果活用頻度」、「看護研究に関する知識」等が関係することを示した。
〔考察〕今後、看護師が看護研究とその成果活用を系統的に学習でき、研究成果活用力を高められるプログラムの開発が必要である。