2017 年 27 巻 2 号 p. 27-40
〔目的〕わが国の看護基礎教育で求められてきた看護の専門性を支える思考の内容と、それらの思考を育成してきた看護学教育の動向をあきらかにする。
〔方法〕看護基礎教育に関する政府の報告書、日本看護学教育学会誌の学術集会関連記事、看護教育に関する雑誌を対象とした。看護基礎教育における思考・教育方法に関する内容を抽出し、年代ごとに整理した。
〔結果〕求められてきた思考は「科学的根拠に基づく看護の必要性から広がった論理的な思考」、「看護実践能力を支える基盤として求められた複合的な思考」、「学士力を基盤とした専門職として看護学を発展させていく思考」の3段階に区分できた。思考の発展に伴い、教育の方法も変化していた。
〔考察〕看護基礎教育では、社会の状況に伴い高度で複合的な思考が求められるようになっており、それに伴い教育方法も発展してきた。臨床での判断力を育成し、高度な専門職の基盤となる思考を育成するために、どのように思考が育成されるのかをあきらかにするとともに、その教育方法を検討する必要がある。