2019 年 28 巻 3 号 p. 13-25
〔目的〕看護基礎教育において効果的に基本的コミュニケーション・スキルを育成する指針を得るために、スキル・タイプを判定する手法を策定する。その上で、看護師を志して入学した初年次生の基本的コミュニケーション・スキルの特徴を明らかにする。
〔方法〕研究1では社会人と一般大学生に、研究2では看護学科初年次生に、ENDCOREsを用いた調査を行った。
〔結果〕研究1で、基本的コミュニケーション・スキルとして9タイプを同定した。この結果を基にタイプ判定法を考案した。研究2で看護学科初年次生は統制系・反応系スキルが高く、社会人や一般大学生と比べ、万能型、均整型、自制型、受動型が多かった。
〔考察〕同定されたスキル・タイプは、表出系スキルと反応系スキルの高低の組み合わせにより特徴づけられる。これらの判定法が定まったことで、今後は調査サンプルによらず共通の基準でスキル・タイプを特定することができる。看護基礎教育では入学時にスキル・タイプの判定を行い、自制型や受動型を持つ初年次生に対してアサーション・スキル・トレーニングを実施する必要がある。