2021 年 31 巻 2 号 p. 17-30
〔目的〕基礎看護の演習や実習で、男子学生が困難に直面した場面と、その困難の乗り越えのプロセスを明らかにし、教員の望ましい教育的アプローチへの示唆を得ることである。
〔方法〕平成27年8月~平成28年3月に、2年生の男子学生10名に半構造的インタビューを実施し、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)により分析した。
〔結果〕男子学生の困難は、【教員対応への不満】と【演習での苦い体験】、【実習における関係者との相互作用】であった。男子学生は困難を克服しようと【主体的な解決に向けた努力】をしていたが、困難を乗り切るためには【女子との交流による学びの向上】と教員や実習指導者の【成功への導きの指導】が必要であった。
〔考察〕直接肌が触れる援助技術では、女性多数の中で少数の男子が戸惑うことへの配慮が必要である。男子のコーピングスキルは、先ず、独自の力で乗り切ろうとする傾向があることを教員が理解する必要がある。