2021 年 31 巻 2 号 p. 45-56
〔目的〕対話による実地指導者のアプロプリエーションの過程を明らかにする。
〔方法〕実地指導者の役割を担っている看護師18名を対象に半構成的面接を行い、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析を行った。
〔結果〕対話による実地指導者のアプロプリエーションは、《他者を通してこうありたいと願う自分に気づく》後に、《他者のものを自分の中に取り入れようとする》ことをして《取り入れようと他者のものに挑む》中で、《取り入れることと自分の価値観との間で葛藤する》ことや《取り入れることに試行錯誤する》ことで、他者より《取り入れたものから独自なものを創り上げる》というプロセスであった。
〔考察〕実地指導者は、他者の関わりを見るなど音声的でない対話からアプロプリエーションをしていることが多かった。実地指導者の支援には、アプロプリエーションへつながる他者との対話と、自分を見つめ直す自己省察的な場を設けることが重要であると示唆された。