2023 年 33 巻 3-1 号 p. 17-27
〔目的〕臨地実習において准看護師就業経験をもつ社会人学生との関わりに困難さを感じている教員が、学生をどのように認識し、どのように対応しているのかを明らかにする。
〔方法〕看護師養成所2年課程教員の研究参加者6名に半構造化面接を行い、質的記述的に分析した。
〔結果〕教員は、准看護師就業経験をもつ社会人学生の臨地実習について、「手短に済ませる」、「マニュアルに頼る」、「身に付いたものに戻る」と述べ、それを「経験の壁」と表現した。そして、それへの対応として「経験の壁を壊す」、「ぐっとこらえて待つ」と語っていたが、経験に頼る学生の行動を修正できず、困難さを感じていた。
〔考察〕教員は学生に関して、准看護師の経験が「経験の壁」となっていると認識しており、学習の浸透を妨げていると考え、その壁を壊そうとしていた。しかし、准看護師としての経験を「経験の壁」と考える教員の方こそ、発想の転換が必要であると考えられた。