日本看護学教育学会誌
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33 巻, 3-1 号
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巻頭言
原著
  • 佐藤 智子, 谷津 裕子
    原稿種別: 原著
    2023 年 33 巻 3-1 号 p. 1-15
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/27
    ジャーナル フリー

    〔目的〕初めて看護過程を展開する実習における学生の驚きに対する教員のかかわりを明らかにする。

    〔方法〕学生が初めて看護過程を展開する実習を担当する、看護系大学教育経験が6年以上の教員を対象に、半構成的面接によるデータ収集および主題分析とパターン分析を行った。

    〔結果〕教員のかかわりには、段階1【驚きを予測し備える】、段階2【驚きに気づく】、段階3【驚きの意味を考える】、段階4【驚きに向き合い展開を助ける】、段階5【驚きが転換され考えが深化したことを見届ける】という段階がみられた。その展開には、段階を順に踏むパターンと段階が戻るパターンが存在した。

    〔考察〕教員は常に学生の感情から離れず学生へのケアを実践し、問題解決思考で5つの段階を踏み反省的思考を働かせ学生にかかわっていると考えられた。学生の驚きは教員と学生の相互成長を促す感情である可能性があることから、学生の驚きを大切にする実習環境の創出が必要であることが示唆された。

  • -看護師養成所2年課程の臨地実習において-
    天谷 美紀, 河口 てる子
    原稿種別: 原著
    2023 年 33 巻 3-1 号 p. 17-27
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/27
    ジャーナル フリー

    〔目的〕臨地実習において准看護師就業経験をもつ社会人学生との関わりに困難さを感じている教員が、学生をどのように認識し、どのように対応しているのかを明らかにする。

    〔方法〕看護師養成所2年課程教員の研究参加者6名に半構造化面接を行い、質的記述的に分析した。

    〔結果〕教員は、准看護師就業経験をもつ社会人学生の臨地実習について、「手短に済ませる」、「マニュアルに頼る」、「身に付いたものに戻る」と述べ、それを「経験の壁」と表現した。そして、それへの対応として「経験の壁を壊す」、「ぐっとこらえて待つ」と語っていたが、経験に頼る学生の行動を修正できず、困難さを感じていた。

    〔考察〕教員は学生に関して、准看護師の経験が「経験の壁」となっていると認識しており、学習の浸透を妨げていると考え、その壁を壊そうとしていた。しかし、准看護師としての経験を「経験の壁」と考える教員の方こそ、発想の転換が必要であると考えられた。

研究報告
  • −臨地外での目標達成に向けた実習方法の探求−
    前田 隆子, 西田 三十一, 桑原 美弥子, 榎本 麻里
    原稿種別: 研究報告
    2023 年 33 巻 3-1 号 p. 29-41
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/27
    ジャーナル フリー

    〔目的〕新型コロナウィルス感染症(COVID-19)影響下の 2020 年度に全国の看護系大学において遠隔および学内で実施された周術期看護実習の実態、目標達成状況、課題を明らかにし、臨地外でも実習目標達成が可能となる要因を探求する。

    〔方法〕看護系大学273校の周術期看護実習科目責任者を対象に質問紙調査を実施した。

    〔結果〕質問紙の有効回答率は24%であった。実習方法は、看護過程55例(85.9%)、シミュレーション50例(78.1%)、視聴覚教材の活用48例(75%)等が多かった。臨地外実習の目標達成状況は、病態や身体機能の理解、看護過程等において臨地実習時を上回っていた。目標達成状況が「臨地実習を上回った」回答者は、周術期の経過の早さを重視し、臨地実習に近い内容で実践していた。

    〔考察〕臨地外実習で目標達成を目指すには、学生が自ら考えて動き患者の反応から学ぶ必要がある。刻々と変わる急性期の状況変化を体験し、臨地実習のイメージで能動的に実習できる工夫が効果的な臨地外実習となる一要因と考えられた。

  • 瀬戸山 美和, 花田 妙子
    原稿種別: 研究報告
    2023 年 33 巻 3-1 号 p. 43-55
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/27
    ジャーナル フリー

    〔目的〕看護専門学校の中堅看護教員への成長に繋がった授業の改善と学生との関わりを明らかにする。

    〔方法〕対象は、教員歴3年以上10年未満の看護専門学校の看護教員で、半構造化面接によるグループインタビューを実施した。

    〔結果〕看護専門学校の看護教員13名の参加が得られた。新人看護教員から中堅看護教員への成長に繋がったと語った内容は、授業の改善に関する2カテゴリ【学生を中心に考える授業を探り始める】、【授業に対する学生の反応が励みになる】と、学生との関わりに関する4カテゴリ【学生中心に看護教員から関わる】、【学生との良好な関係を形成する】、【学生の立場で考えて関わる】、【学生の成長を願って関わる】であった。

    〔考察〕新人看護教員は、学生を中心に学生の反応を大切にしながら授業の改善を行い、学生主体に関わることが、中堅看護教員への成長に繋がったと捉えていた。

  • −リアリティを生み出す教員の介入と学生の学び−
    藤井 智子, 塩川 幸子, 水口 和香子
    原稿種別: 研究報告
    2023 年 33 巻 3-1 号 p. 57-69
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/27
    ジャーナル フリー

    〔目的〕地域ケア会議ロールプレイを体験した学生の学びと他職種を演じた教員の体験および評価を明らかにし連携調整技術教育への示唆を得る。

    〔方法〕学生21名の学びの記録分析と教員4名に半構造面接を行い質的記述的に分析した。

    〔結果〕学生は【討論を活発にする舵取りの技術】を学び【失敗から捉えた根回しの技術】から【企画を練り上げるプロセス】を振り返り【地域ケア会議の意味づけ】をしていた。教員は【リアリティに近づく役づくり】と【ロールプレイの場面を踏まえたフィードバック】をし【臨場感のあるロールプレイが導く学習の成果】を捉え【技術を深化させる教材の工夫】を考えていた。さらに【教員としてよい経験となる思い】を抱いていた。

    〔考察〕学生は教員が演じる臨場感あるロールプレイから難しさを体験し企画が土台であることを学んでいた。会議の企画書作成とロールプレイの組み合わせは効果的な技術の学びとなることが示唆された。

実践報告
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