抄録
現代の日本では急速に高齢化が進んでいる中で、高齢期になっても自立した生活を送るには男女ともに若いころから自立した生活を送ることが重要であることが指摘されている。しかし現状では高齢者の自立はどのように達成されるのかを分析する段階には至っていない。そこで本研究ではindependent(自立している、独立していると訳せる)であると言われているノルウェーの人々を対象にインタビュー調査を行い、自立を獲得していくプロセスを若年層と高齢層に分けて修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。その結果、ノルウェーでは比較的若い時期に[自立](自分でできることをやること)と[自律](自分で決めること)がなされたうえで親から《独立》するという鍵概念がコア・カテゴリーとして浮上した。高齢者の場合にはその先にはキャリア人生があり、その後は子どもから自立した《独立》した老後の人生を送るという道筋が描けた。