抄録
本稿では、大学改革の流れと、そのなかでも質保証枠組の変遷について考察することで、学問の自由がいかに確保されているのかを考究する。北欧諸国の中でもスウェーデンは特に新自由主義による大学改革を進め、一部の人事任命権を政府が担ったうえでの大学の自治が認められ、教育の質や効率性が重視されている。国家質保証枠組は、現在第3期が運用されており、ボローニャ・プロセスや新自由主義大学改革に沿って進められている。教育評価の厳格化と学生参画の推進によって教育の質保証を確保することを掲げ、国内の大学は国家質保証枠組の方針に則って内部質保証枠組の構築を進めている。質保証枠組の制定による教育評価の厳格化や一部の人事任命権を政府が担うことで、大学の学問の自由が危機に面していると国内外でも指摘されている。大学は、政府の要請に応じながらも、学問の自由を確保し、維持するために、今後も大学間の連携が進められると考えられる。