グローバル化に直面する北欧諸国の中で、EUに加盟せず、石油という資産を有するノルウェーでは、危機が顕在化しにくかったといわれる。しかし階級社会から 「平等」 へという戦後の目標の到達の後、若年層、難民、ロシア系女性などの「周縁的市民」の排除が注目されるようになった。そして2000年代になると、「反貧困」が政府・ 政党の重要政策に掲げられた。その政治的背景には、政党デモクラシーの不確実性が高まる中で、主な政党リーダー達が競ってこの問題を取り上げ、アジェンダ(政治議題) 化したことにある。その結果、ノルウェーでは遅れていた福祉政治の現代化とともに、ポスト「第三の道」とも言える左一右対立の刷新が進んでいる。