動物心理学年報
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シロネズミの低頻度差別強化 (DRL) 訓練におよぼす向精神薬の影響について
I.道具反応と無関反応におよぼすクロールプロマジンの効果
岩本 隆茂梅岡 義貴
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1966 年 16 巻 2 号 p. 103-116

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抄録

任意・反応続行事態 (free responding situation) における間歇強化の手続きには, さまざまな手法が用いられてきているが, 低頻度差別強化 (DRL) スケジュールもその一つで, 反応間時程 (IRT) が規定以上の道具反応のみに強化が与えられ, IRTが規定時間に達していない場合には強化されず, 改めてその時点から次のIRTの計測が行なわれるという手続 (8, 18) である。一般に間歇強化の手続きは, (A) 強化反応に続く時間の指定を主体とするものと, (B) 強化反応に続く反応系列の指定 (確率的な場合もある) を主体とするものに大別できる。ところでDRLスケジュールは, 一応前者に属すると考えられるが, その始発子 (initiator) となる反応に “強化” という限定はなく, 強化条件が被験個体の反応に依存する度合いの強い特異な手法であり, 実験心理学のみならず精神薬理学などの関連領域においても広く用いられてきている (23) 。
本研究はDRLスケジュールのもとで期待される反応抑制過程 (道具反応の続行を暫時自制するという形の) が, (1) どのような機構を介して形成されていくか, (2) その被験個体の行為系にどのような歪みをもたらすか, (3) 向精神薬の投与によって如何なる影響をうけるか, という3つの事項を関連させながら, 道具反応および無関反応 (irrelevant responses) の変容過程を分析することを目的とする。
その第1報告では, 活動性測定装置内に道具反応用の梃子を設置し, DRL訓練による道具反応と活動反応の進行的変化におよぼすクロールプロマジン投与の効果が検討される。

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© 日本動物心理学会
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