動物心理学年報
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シロネズミの潜在学習に関する一実験
左右目標箱に対する等強化後の一目標箱に於ける電撃
竹内 照宗
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1956 年 6 巻 p. 57-64

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抄録

潜在学習の条件をより明細にするための手懸りを得る一つの試みとして, TOLMAN& GLEITMAN (13) の用いた迷路と同様のものを用い, 類似の方法で追試し, 又動機づけの弱い条件ではどの様になるかを検討した。
(1) 16匹のシロネズミは, 左右両目標者に等強化された。両目標箱に入る前の両目標部分は, 知覚的性質に於て非常に違つていた。両側に等しく訓練された後, 夫々のネズミは切離された目標部分の何れか一方の目標箱で電撃が与えられた。
(2) 8匹は22時間絶食で, 他の8匹は8時間絶食で行われた。
(3) テスト試行にて, 22時間絶食で行われた群は, 凡て電撃された目標箱を含む側をさけ, TOLMAN & GLEITMANとの実験結果との一致に於て潜在学習があらわれたが, 8時間絶食群のネズミは電撃された側を避ける傾向が明らかでなかつた。
(4) この結果はTOLMAN等 (13) 及びMINTURN (7), SEWARD (9) 等の実験との関係に於て考えられるが, 動機づけの弱い条件ではこうした実験場面であつても潜在学習が生じ難くなる様に思われる。

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