抄録
NPOにおいてミッションはその根幹にあり,組織が存在する理由である.よってNPOにおいてミッションを知ることは重要となる.またミッションを語る上で,多くの質的研究が積み重ねられて生きた反面,実際にNPOで使われている言葉を使用した量的研究は散見した限り少ない.本稿の目的は探索的定量研究に基づきNPOにおけるミッションの全体像を描写することにある.本研究では京都府認証NPO法人を中心に(2009年11月時点,N=1036,解散を含む),その定款から目的の項にある文を抽出し,ミッションマネジメントの概念を中心にテキストマイニング,ネットワーク分析を行っている.抽出された頻出語の傾向から,仮説構築的にミッションが抽象化しすぎることの問題,またミッションにおける同型化の議論,そして他分野間における協働可能性の指摘を行った.本研究が量的研究の方法論,議論の更なる深化のための一つの嚆矢となることを願う.