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Print ISSN : 1346-4116
研究論文
地域のソーシャル・キャピタルは災害時の共助を促進するか
―東日本大震災被災地調査に基づく実証分析―
川脇 康生
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2014 年 14 巻 1+2 号 p. 1-13

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抄録

東日本大震災の教訓として,地域住民,団体など多様な主体の「共助」による災害対応力の強化が求められている.次の大災害の発生が差し迫ったものとなる中,災害時の行政の対応能力の限界も踏まえつつ,平時から地域の住民や団体が相互に協力し合い,災害に備えておくことが重要であるとされる.本稿は,震災前の地域活動への参加に見られるソーシャル・キャピタルの醸成が,震災後の共助活動(支援・受援)に携わる可能性をどの程度変化させていたのか,被災地調査に基づくミクロデータをもとに,支援関数と受援関数の相関を考慮したモデルを構築し,定量的に示そうとするものである.推定結果から,震災前の地縁活動や市民活動への参加程度が増えると,震災後に支援・受援に携わる確率が有意に高くなり,ソーシャル・キャピタルは,復旧・復興過程において人々の相互協力を効率的にし,復興を促進する効果のあることが示唆された.

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© 2014 Japan NPO Research Association
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