ノンプロフィット・レビュー
Print ISSN : 1346-4116
研究論文
政策提言における環境NGOと政府の連携
―生物多様性政策を対象とした比較分析―
藤田 研二郎
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 17 巻 2 号 p. 101-112

詳細
抄録

本稿では,生物多様性条約第10回締約国会議(2010年愛知県で開催)に向けた環境NGOによる4つの政策提言の比較分析から,NGOと政府との間に連携が形成される場合の条件を特定,及びその選択性を考察する.先行研究において,政策決定段階からの連携は理念的に求められてきた反面,経験的な連携形成条件及びそこに潜む選択性については十分考慮されていない.

社会運動論における戦略的連携論の分析枠組に基づき,比較分析から得られた知見は次のものである.まずNGOと政府間の先行する紐帯は連携を促す.一方NGOの有する専門知は,連携と関連していない.さらにNGOの政策提言が,後の政策実施体制におけるNGO自身を主体とした自主事業をあらかじめ見込んだものである場合,従来からの政府側のスタンスと適合的でなくとも連携は形成されやすいといえる.結論として,上記の政策提言のあり方を連携形成条件の一つの選択性としたとき,必ずしも社会変革といえない状況や環境政策の停滞を導いてしまう場合が示唆される.

著者関連情報
© 2017 Japan NPO Research Association
前の記事
feedback
Top