2016 年 36 巻 4 号 p. 693-697
妊娠中の急性虫垂炎は診断に難渋する場合が少なくない。また,微少な腹腔内感染であっても児娩出に至ることもあり,その診断治療には適切な対応が必要とされる。1998年から2014年に当院で経験した妊娠時虫垂炎症例について非妊娠時虫垂炎と比較検討した。その結果,25例のうち初期治療として16例は外科的切除,9例は保存的治療を行った。保存的治療9例のうち2例は治療抵抗性であり手術を必要とし,このうち1例は早産となった。手術を行った18例のうち2例は帝王切開後に虫垂切除を施行した。当院で入院加療を行った非妊娠時虫垂炎184例と比較すると,症状出現時から来院までの日数,白血球数,CRP,体温,脈拍,抗生剤投与日数に有意差を認めず,入院期間は有意に妊娠症例が長かった。診断,治療が遅れた妊娠中の虫垂炎は早産などのリスクが高く,診断方法や手術適応の判断に注意が必要である。