2019 年 19 巻 1+2 号 p. 33-45
本稿の目的は,政治学分野における「NPO研究」をレビューし,その動向と課題を明らかにすることにある.分析は,日本における1998年以降に刊行された16の政治学系学会誌に掲載されているNPO関連論文,および日本のNPO研究の専門誌であるノンプロフィット・レビューに掲載されている政治学関連論文の計115の論文を基に行った.分析の結果,政治学とNPO論とのインターフェースにあたる各理論間を接合する研究が不足していること,ボランティア,自発的結社,社会的企業,組合といったテーマの研究が不十分であること,質的研究に依存しており量的研究が少ないことなどが明らかになった.今後,「政治学におけるNPO研究」というアイデンティティを見いだす作業が,政治学・NPO論双方において求められる.