ノンプロフィット・レビュー
Print ISSN : 1346-4116
研究ノート
ソーシャル・ファーム(Social Firm)概念は日本でどのように受容されているのか
―スコーピング・レビューを通して―
平尾 昌也
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2022 年 21 巻 1+2 号 p. 109-123

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抄録

近年,人々の働き方や暮らし方は大きく変容し,地域社会での人のつながりや支え合いが希薄化しおり,新しい地域社会づくりが求められている.これからの地域社会づくりを検討する上で“働く”と“暮らす”とが隣接すること重要であり,本研究はソーシャル・ファームに着目する.まず,ヨーロッパに起源を持つソーシャル・ファームの定義や概要を整理する.次に,日本の研究誌上でソーシャル・ファームに関する文献のスコーピング・レビューを通して日本においてソーシャル・ファーム概念受容について,(1)障害者等の雇用を目的とした社会的企業の一つである.(2)雇用対象は,精神・知的障害者に焦点化されている.(3)多様性を認め,お互いが共に働く仲間として対等な関係である.(4)雇用を生み出すだけでなく,地域社会の課題に取り組み地域とのつながりを意識的に生み出す.の4点を明らかにした.特に(4)で示された内容は,日本のソーシャル・ファーム実践で強調されており,概念受容の特徴として示唆された.

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© 2022 Japan NPO Research Association
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