本稿は,NPO法人しゃらくが運営した「神戸ソーシャルキャンパス」及び「神戸ソーシャルブリッジ」の2つの事例をボランティアコーディネーションの観点から考察した.この2つの事業にてボランティアコーディネーションを行う際には,「独自の目的」と「期限の設定」という特徴がある.その結果,従来のボランティアコーディネーションとは一部異なった要素(ボランティアに期待される役割の明確化,ボランティアの参加のしやすさ,長期的な伴走支援,成果への焦点化)に重点を置いていることを明らかにした.本稿ではこれらのコーディネート手法によって組成されたボランティア活動を「市民参加プロジェクト」と呼び,その活動に参加する動機などを現代の社会環境を踏まえて考察した.以上の考察を通じて,市民参加プロジェクトは中間支援組織にとって,ボランティアプログラムの開発やステークホルダーとの関係構築など新たな機会を創出する可能性を有していることが分かった.