2024 年 24 巻 1 号 p. 13-24
日本国内ではNPOの解散が一定数見られるにも関わらず,NPOがなぜ解散するのか,その実態や原因はこれまで探索されてこなかった.しかし,英語圏では,組織論の観点から,NPOの解散に関する体系的な研究が行われてきた.そこで,本稿では,NPOの解散に関する英語圏の先行研究について,スコーピングレビューを用い,その知見や今後の課題を整理した.英語圏の先行研究では,新しさの不利益,正統性,地域社会の経済的要因,ミッション達成がNPOの解散の主な要因として挙げられている.しかし,これらの研究には,解散の定義の曖昧さ,サンプルの偏り,直接的な要因の不確かさ,解散という帰結が与える影響の欠如という研究課題が見受けられた.本稿では,日本国内においてNPOの解散研究を進めるために,法人格の差異,解散を決定する意思決定モデル,解散に作用する直接的な要因,NPOが解散することによる地域社会への影響を検討することを提案する.