抄録
成熟雄白ネズミ小腸粘膜から微絨毛膜ならびにスクラーゼ・イソマルターゼ複合体を精製し, α-グルコシダーゼ阻害剤であるBAY g 5421による, スクラーゼ活性, イソマルターゼ活性, マルターゼ活性, グルコアミラーゼ活性に対する阻害形式を観察した。
1) 微絨毛膜におけるそれぞれの酵素活性に対する阻害率は, 10μMのBAY g 5421の存在下で, グルコアミラーゼ活性92.3%, スクラーゼ活性82.3%, マルターゼ活性70.9%, イソマルターゼ活性7.2%であり, スクラーゼ, イソマルターゼ, グルコアミラーゼ活性に対する阻害形式はいずれも拮抗型であった。
2) スクラーゼ・イソマルターゼ複合体の場合にも同様の阻害効果が観察され, スクラーゼ, イソマルターゼ, マルターゼ活性に対する阻害形式は同様に拮抗型であった。
3) K1値は, スクラーゼ・イソマルターゼ複合体において, スクラーゼに対して6.3×10-7M, イソマルターゼに対して4.3×10-5Mであった。グルコアミラーゼに対しては, 微絨毛膜において2.9×10-8Mであった。