2003 年 3 巻 1 号 p. 37-45
本稿の目的は,NPOにおける知識の重要性を指摘し,野中の組織的知識創造理論を基にNPOのナレッジ・マネジメントの枠組みを構築することである.NPOの知識創造とは,多数の個人の思いをはっきり言語化してミッションに表現し,それを正当化基準として,新たな知識を創造・実行する中で,社会にその有効性を認知させ,そのミッションを実現していくプロセスである.本研究から,生活者,専門家,利害関係者の持つ知識の活用,開放的な場の設計,ミッションの明確化,知識の蓄積および不足している知識の組織外からの獲得,リーダーに必要なソーシャル・キャピタル,交渉能力,説得能力などが示唆された.また,8項目からなるNPOのナレッジ・マネジメントの実践的方法論も提示した.