NPOは市民社会との関わりの中で活動を行っており,そのアカウンタビリティは法的なディスクロージャーに止まらず,広く社会に対して情報を公開することで果たされる.したがって,財務情報の公開が義務付けられていない現行の非営利法人制度では,アカウンタビリティが十分に果たされているとは言えないが,NPO法人制度の成立に伴い,NPOによる情報開示の重要性が明確化されたことは画期的である.その一方で,愛知県におけるNPO法人の財務データを分析した結果,NPO法人は社会からの資金的サポートを十分に受けておらず,実際には社会に対して大きな責任を負っているわけではないことが判明した.むしろ,補助金や委託事業を通じて行政から資金を得ている社会福祉法人や学校法人に対して,納税者に対する受託責任の観点から情報公開を義務付けるべきであり,アカウンタビリティとディスクロージャーとの間にあるミスマッチを解消する必要がある.