抄録
本研究では,組織の継続的イノベーションの仕組みを考察するために,「学習する組織」における教育研究を検討する.まず,企業社会では,組織文化や外部のイデオロギーによって,批判的省察,エンパワーメントが偏向させられ,「学習する組織」で理想とする学習を難しくしていることが示唆された.
次にこうした問題を解決するために,「伝統中心の対話的アプローチ」に注目した.このアプローチは,組織の伝統を変えるために,伝統と状況解釈的実践との間に生じるクリエイティブ・テンションを,学習や新しい行為のエネルギーに変える実践である.
しかし,そのためには,「市民的自由」と「保護された市民的空間」を組織内に創出する必要があり,こうした公共的な空間をつくる努力をオープンガバナンスとして提起した.最後に,非営利組織が「学習する組織」となる可能性について,組織的特徴やオープンガバナンスの実行という観点から検討している.