抄録
昨今,医療現場では組織変革を迫られるなか,組織文化がその鍵であると言われているが,その概念は,まだ十分明確にされているとは言い難い.そこで,今回,「看護組織における組織文化」の概念を明らかにすることを目的に研究を行った.
概念分析の方法は,Hybrid Model法を用いた.最初に人類学・経営学・看護学の文献検討を行い,次に2総合病院で6カ月間のフィールド調査を行い,最後にそれらを総合した分析を行った.
その結果,組織文化は,「人工物-価値・規範-基本的仮定」のレベルをもっており,その本質は「基本的仮定」であることが明らかになった.そして,看護組織における組織文化は,「集団の基本的仮定」,「仕事の基本的仮定」,「看護師の基本的仮定」の3つの領域から成り立ち,それらは相互に重なり合っていた.