抄録
本稿は小児病棟の看護における熟練した技術とはどのようなものかを明らかにし,報告することを目的としている.研究は長期参与観察とインタビューによるエスノグラフィーで行った.フィールドワークの全過程は1年7ヵ月であった.結果,その技術は,6つの特徴,『相互に交流し合う身体感覚を用いる』『状況に埋め込まれている』『タイミングが合う』『言語化することが難しい』『実践の中で洗練される』『向心性がある』をもっていた.また,単なるやり方ではなく,子どもに合わせてどのように自分の身体と技術を生かせばよいかを知ることによって生まれる実践に内在する“行為”であり,現場でのみ学ぶことが可能な知識であることがわかった.そして,3つのスキル,『身体の動きと感覚』『タイミング』『判断』で構成されており,これらによって子どもと看護師との状況の変化がおこり,生み出されている行為であった.