抄録
本研究の目的は,褥瘡創面の細胞外マトリックス(以下ECMとする)分子の構築状態と,褥瘡創面の関連性を明らかにすることである.褥瘡と診断された8名に使用していたガーゼに付着した滲出液から抽出したタンパク質を対象とし,抗体を用いてECM構築分子の存在について検索し,酵素交代測定法(ELISA)によりMMP3の発現量を測定した.その結果,ⅰ)褥瘡創面の状態によって抗体反応のパターンが違うこと,ⅱ)一つの褥瘡創面でも部位により抗体反応が違う,ⅲ)MMP3の発現量が対象によって違いがあることが明らかになった.このことから,対象によって褥瘡創面のECM分子の構築状態が違うことが考えられ,褥瘡創面の状態に応じた看護介入を考慮することが重要である.また,褥瘡創面から MMP3が検出されたことから,MMP3が褥瘡に何らかの関連性があることが示唆された.