Mental Health-Related Self-Care Agency Scale日本語版(MH-SCA-Japanese:以下MH-SCA-J)の開発とその信頼性,妥当性を検証することを目的とした.
MH-SCAの翻訳を行い,内容妥当性・表面妥当性を検討し,MH-SCA-Jを作成した.地域で生活しているうつ症状のある精神障がい者73名を対象に調査を行った.結果は,MH-SCA-JのCronbach α係数は0.93であり,一定の内的一貫性が確認された.MH-SCA-Jとセルフケア行動の得点の相関係数は−0.690(p<0.01),MH-SCA-JとCES-Dの得点の相関係数は−0.834(p<0.01)と統計的に有意な相関がみられ,併存的妥当性が確認された.また,“抑うつ症状なし群”は“抑うつ症状あり群”と比較してt値は−7.51(p<0.01)であり,有意にMH-SCA-J得点が高く,臨床的妥当性が確認された.以上より,MH-SCA-Jは一定の信頼性と妥当性が得られ,精神症状に関連するセルフケア能力を測定する尺度として使用可能と考える.